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森繁自伝 / 森繁久弥

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著者/森繁久弥
中央公論社
1962年初版、四六判、226p
 
満州引き揚げから、役者として揺るがぬ地位を得るまでを綴った著者第一作となる自伝。

日本文芸家協会への推薦のきっかけになった作品だけあって、筆致は軽妙かつ沁みる。

「八月十九日。私は九人のソ連兵を後に従えて歩いた。大陸に秋の気配の来たことを知らすのはまず空の色だ。この先には海がある、と思わせるような清澄な高い空から、銀まぶしの陽光が乾燥しきった街路とアカシアにはねかえっている。ときどき背中をタラタラと汗が流れるのを感じた。それはどうやら自動小銃を向けられているあたりから沁み出しているように思えた。」

装丁/谷内六郎
挿絵/森繁久彌

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