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極楽まくらおとし図 / 深沢七郎

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深沢七郎／著
集英社
1985年初版、B6判、函

短編9編、著者晩年の作品集。
表題作『まくらおとし』とは、現代に密かに伝わる奇習のこと。まくらおとしで逝きたいという親類の老人の願いを聞きいれ、秘儀を実行するというストーリー。

奇習が伝えられていく展開は、楢山節考と共通するものがあり、著者ならではの作品と言えます。陰鬱なムードの中で、淡々と万事を受け入れていく営みは、多くの最老境に差し掛かった人々が見ている光景なのかも知れず、うすら寒い思いがよぎったりもします。

表題作の他に、学生運動に挫折した仲間たちの物語「闇」、著名な演奏家の同級生を呼び寄せ演奏会をひらく資金をバクチに賭ける男を描いた「花に舞う」、子どもたちが学校で反乱をおこす「変化草」など、ミニマルながらバラエティーに富んだ作品群。